2007年06月21日

毛取物語―新章3―

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乗客が次々とデッキを渡って上陸していきます。
このは源氏も皆に続いてデッキを歩いていましたが、
最後の部分が、なんと格子状になっているではありませんか。
あれは踏めません。いつもの要領でさっと横に避けたら、そこは海でした。。

このは源氏、泳ぎは未経験です。
「これにつかまって!」
可憐な声とともに投げ込まれた浮き輪を、とっさに掴みます。
そのまま陸に引き揚げられて、なんとか上陸。
「大変でしたね。私は蝶々と申します。このは源氏の君」
「なぜ僕の名を?」
「帝の【ツレヅレしぐれ】を読みましたの」
ねっとの力は海を越えます。

Xaa.JPG

本蝶々ちゃんと一緒にランチをすることにしました。
案内されたお店の看板には、
〜隠れ家的笑いのレストラン《ぴの亭》〜とあります。
「・・・いらっしゃい」
少々やる気のない、もほーんとした態度の店主らしきワンコが、お水とメニューを運んできました。
「メニューよ」
《・クマの出没情報
 ・自由犬の捜索
 ・魔法使いのイタズラ》
どうみても、おいしい食事とは思えません。。
「……あの、これは?」
「あら、こちらさん始めて?」
「ええ、海を渡っていらしたこのは源氏の君ですの」
「まあ、あたしはぴの。この店の店主で政府の諜報部メンバーなの」
なんと!よくよく観察してみれば、ほかに客も見当りません!
「ということで、これが貴方に協力していただきたい事件の一覧です。
 見事解決したら、貴方のご希望の場所へご案内いたします」

こうして、抜けめなくやっかい事と押し付けられたこのは源氏。
仕方ありません。ここはギブ&テイクのお国柄です。

pino.jpg

本まずはクマ出没情報のあった場所へ行ってみることにしました。

道の途中で行き倒れてる1ワン発見。
「あの、大丈夫ですか?」
「…………でてください。。」
「はい?」
「撫でてください」
「・・・」
なんとなく立ち去りたいところですが、むげにも出来ません。
「ふう、ありがとうございます。ボクは小麦。撫でてもらわないと生きていけません」
関わらないと決めたこのは源氏。ですがなぜか一緒に歩き始めました。
「実は妹を探しているところでして・・・」
聞くところによると、自由を愛する妹はいつも旅に出てしまうといいます。
どうやら目的の事件の1つと、同一である可能性大です。
こうして旅の同行者が出来ました。

しばらくすると、どこからか鳴声、いえ咆哮が聞こえてきます。
恐る恐る近付くと、なんとクマが!

J&R.jpgL&Rkuma.jpg

しかし、あまり迫力もないし、どちらかといえばマスコット的な愛らしさです。
「私達は魔法使いのイタズラでこんな姿になってしまったのです」
「自慢のたれ耳も、こんなに丸く。。」
言われてみれば、ボディはこのは源氏に似ているのに、耳はクマ。
「ぼくら夫婦にはカワイイ娘がいるのに、、こんな姿じゃ会えないよ」
「あのコは喜ぶかもしれないけど、、でもたれ耳がいいの。。」
夫婦らしい2ワンの耳も、もちろんクマ。
「それで魔法使いはどこにいるのですが」
「さっきまであっちの湖で、魔法の練習をしていたけれど。。」

本湖に行くと、たれ耳とおぼしき白いワンコが、羽根のようにお耳を広げているところでした。
「君が魔法使い?」
「わたしは麦。まだ見習いだけど、将来は大賢者ムギラになる為に修行中なの」
「君の魔法で、クマにされたワンコが困ってますよ」
「まあ!それは大きな誤解ね!!耳は立ってるほうがこれからの時期、通気性がいいのよ」
どうやら親切心からの行いのようですが、あのクマ耳は保温性はあっても通気性があるとは思えません。。
「仕方ないわね〜。。」
魔法使い麦が呪文を唱えると、計8個のクマ耳が元のたれ耳に戻りました。

mugi.jpg

「ああ、早く家に帰らなければ」
ルーシー&リッキー夫妻はカワイイ小悪魔天使の待つ我が家へ。
リッヒ&ジェロ姉妹は、迎えのバギーを待って、家に帰って行きました。

L&R.jpg jikayou.JPG

・クマの出没情報
 ・自由犬の捜索
 ・魔法使いのイタズラ》 ラスト1件。

すると魔法使い麦が、
「あなた、私と名前が1字違いね。これも何かの縁。自由犬を召喚してあげるわよ」
再びお耳を飛ぶように広げたかと思うと、突風と共に、これまた白いワンコが現れました。
「あれ、小麦じゃん。こんなところでどうしたの」
さすが自由を愛するワンコ、思考も自由です。
「あれじゃないよ〜柚ぅ〜〜!早く帰るよ。こんな人気のない場所じゃ、撫でてくれる人探すのに大変なんだからね」

KOMUGI&YUZU.JPG

こうして芋づる式に事件を解決出来たこのは源氏。
そろそろ王朝絵巻の世界に戻るとしましょう・・・。

本事件を解決出来た見返りに、はな式部の故郷の地図をもらいました。
辿り着いたのは、食べれそうな草の生い茂る村でした。
「いらせられませ、このは源氏」
「主がお待ちかねです」
長毛も美しく気高い花御前と、控えめで清楚な桃御前に導かれて館の奥へ。

hanagozen.JPGMOMOGOZEN.JPG

「大きくなりましたね。このは源氏」
するすると上がる御簾の向こうに、なんとりょく壺に似た猫が。
「あなたは。。」
驚愕に震えるこのは源氏。
「わたくしはタマ壺、あなたの母です」
「母君!?しかし母は確か僕が小さい時に・・・」
「許しておくれ、宮中にはおいしいパン職人がいなくてね。。」
無類のパン好きのタマ壺は、宮中暮らしに飽きたのではなく、
おいしいパン、ただそれだけを求めて、この地へ辿り着いたのでした。
「幼い貴方が心配で、私に似ているりょく壺を、帝に嫁がせたけど、、
いい加減、母の影を追うのはおやめなさい。あなたは犬なのよ、猫にはなれないの」
次々と明かされる衝撃の事実に、打ちひしがれるこのは源氏。
なんということでしょう。。理想の姫君を求めたはずの旅は、現実を見せようという、
生母タマ壺、義母りょく壺、そしてこのっちの帝の陰謀だったのです。

s`l`.jpg

すべてを失った、このは源氏。
しかし、まだ希望があります。
そう、最初に出会った、あの猫っぽいパルの上が、今も待っているはず...!

しかし、そう上手くは行かないのが世の常です。
理想の姫に育てあげようと思ったパルの上は、このは源氏を待ちきれずに、地元に彼氏を作ってしまいました。。。


「ねえ、クーマ中将、やっぱり僕にはろんりーが似合うよね」
「ああ、これからもシャイボーイ協会の会長として、華々しくラブリーでいたまえよ」
「そうだね、副会長。。」

時は平ワン。
今日もラブリーに着飾ったシャイボーイ達が、ろんりーに世を謳歌しております。。



                    ― 完 ―



「お名前のみならず、勝手にお写真を拝借いたしましたことと、配役についてのご不満は、
どうか寛大なお心でお許しくださいませ<(_ _)>」筆者

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posted by このっち at 23:05| ☔| Comment(6) | 挿話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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